屋根に積もった雪が、風や雪の重さなどで
徐々に庇部分に垂れ下がる雪の塊のことを
雪庇(せっぴ)といいます。
屋根の勾配によって雪が滑り、
氷堤(ひょうてい)やツララが軒先に出てくるのが
せり出しです。
凍ったものが落下するので大変危険です。
雪庇やせり出しが垂れ下がって
下に巻いた状態を巻きだれといいます。
換気口をふさいだり、窓を割ってしまうことがあります。
- カーポートに雪庇が落ちて壊してしまう
- 隣家に雪庇が落ちてご近所にご迷惑をかけてしまう
- 雪で屋根が破損し雨漏りが発生、高額な修理代金がかかる
- 雪庇落としを業者に依頼するのでお金がかかる
- 業者に依頼してもすぐには来てくれない
- 実家の両親が屋根に上るのが心配
…といった悩みを抱えられている方も
いるかと思います。
フラットルーフ(無落雪屋根)ばかりでなく、三角屋根でも雪庇は発生することがあります。
また、新築工事の際に、雪庇ができにくい屋根形状で設計したにも関わらず、家並みや地形、風や雪の量などが複雑に影響して、ある年の冬に突然雪庇の問題が発生するケースもあります。
雪庇ができるまで
写真中央上の部分を見てください。
この住宅ではまさに今、雪庇ができようとしています。
アップにすると…
風上(右側)から吹く風で屋根の雪が流され、寄棟の風下側に雪庇ができ始めています。
右側の屋根面と並行する感じで雪庇が増え始めています。
このまま放置すると巨大な雪庇になり危険な状態になります。
北海道内で特に
降雪量が多い地域は?
この北海道地図で、緑、黄、赤のエリアは降雪量が多い地域です。
太平洋側は比較的降雪量が少ないですが、
旭川・富良野・留萌・士別・稚内・名寄などの道北
/滝川・砂川・岩見沢などの空知
/札幌や小樽、ニセコなどの道央・後志
などのエリアは、特に降雪量が多くなっています。
北海道立総合研究機構(道総研)の公式サイトは、2014年に屋根雪対策について
要約すると以下のように書いています。
北海道における雪の事故による死傷者数の推移をみると、2008(平成20)年度以降、毎年約100人ずつ増える状況にある
原因は
- 日本海側の降雪量が増加増加傾向にある
- 高齢化の影響も少なからずある
雪の事故による死傷者数の半数以上は65歳以上の高齢者で、雪下ろしや落氷雪などの屋根雪事故は、雪の事故全体の約80%を占める
特に、屋根やはしごからの転落など雪下ろしに関連する事故は、全体の60~70%を占める
北海道の新築住宅の55%を占める無落雪屋根は
- 屋根の雪庇(せっぴ)や大雪時の屋根雪荷重の増加
- 2階の窓や設備等が雪で埋没する
の課題があり、雪下ろしが必要になる。屋根上の雪を溶かす方法もあるが、融雪水が凍結し氷柱(つらら)発生、エネルギー消費の増加にもつながる。
雪庇対策は、
立地場所の冬の卓越風を調べた上で雪庇のできる位置に配慮した設計を行うことが重要。
シンプルな屋根形状、雪が落ちても問題ない位置に雪を落とす設計が大事。
雪庇を軽減、除去するには
- ヒーター
- フェンス
- 人力での除去
などがあるが、それぞれのメリット・デメリットを勘案して選択する。人力での除去は命綱などの安全対策が必要。勾配屋根での雪下ろしは屋根材が金属板で滑りやすいので大変危険。
参照元
https://www.hro.or.jp/info_headquarters/domin/magazine/post-52.html
北海道立北方建築総合研究所は
「雪庇について注意すべきこと」について以下のように記しています。
雪庇は写真9のように、無落雪屋根(М型屋根、フラット屋根、無落雪勾配屋根)の風下側で発生しやすい特徴があります。住宅の風下側が駐車場や玄関アプローチとなる場合は注意が必要です。
札幌の場合、北西からの風による吹雪が多く、その風下の南東側の屋根端部に雪庇ができるケースが多くみられます。住宅用地を購入する場合には、周辺住宅の雪庇の形成方位を観察したり、冬季の風向を知っておくことが重要です。
雪庇の形成方位に駐車場や玄関アプローチがある場合は、カーポートや小屋根を設けて、雪庇落下による事故防止対策を施す必要があります。この対策を怠ると、冬季に何度も屋根にのぼって雪庇除去をしなければならないので、住宅の平面や配置計画を考える場合には、設計者と十分な協議を行いましょう。
参照元
https://www.hro.or.jp/list/building/develop/pdf/yaneyuki.pdf
このウェブサイト
では、北海道の住宅で生じる屋根の雪問題と
その解決策をご紹介していきます。
なお、このウェブサイトは、豪雪地域の旭川で、長年、住宅リフォームに取り組み、住宅の雪下ろし、雪庇対策に悩まされる旭川市民の声を踏まえ、2005年に「スノーカットマン」という雪庇対策商品を開発した大丸ホームが運営しています。
住宅の新築時の雪庇を重視した屋根設計、そして既存住宅が雪庇に悩まされている場合に、スノーカットマンを設置して問題を解決する手法についても発信していきます。